ドラクエ4の世界を現代の物価にしてローン等を考えてみた
もしドラクエの世界にもローンという概念があったら?
ドラクエ4は、天空シリーズの第一弾ですが、シリーズ内の時間軸でいうと、真ん中の時代です。
複数の主人公たちの小さな物語が、最後で一つに重なって、世界を救うための壮大な冒険が始まりますが、旅にはお金が必要です。
宿代から道具代など、人数が増えれば増えるほど、その出費も尋常ではないのですが、国からの支援は、ほとんどありません。
必要な経費は、現地調達が当たり前の世界です。
なので、モンスターを倒して得るGだけでなく、城や民家から強制的に徴収をしながら、冒険をしていく過酷な旅です。
これらのお金の苦労を、現代の物価に直してみると、面白いのではないか、というのがこの記事の始まりです。
まずは、新しい天空シリーズの世界の物価を宿屋を基準にして決めたいと思います。
あくまでお遊びの範疇なので、細かい点の不備はご容赦ください(笑)
バトランド城下街を岡山市の相場に設定
ドラクエ4の物語のスタートとなるは、バトランド城です。(ちなみに、リメイク版では序章があります。)
バトランド城は、DQ1のラダトーム城のような世界の中心ではありません。
城下町の宿代が4Gなので、料金ランキングでは下の方になります。
日本の都道府県の平均宿泊費用ランキング等と照らし合わせてみて、田舎過ぎず、ホテルも多い岡山市内の格安ホテルを基準にしました。
だいたい2,000円台が最低料金となっているので、4G=2,000円となることから、1G=500円として、天空シリーズを見ていきたいと思います。
ロトシリーズが1G=400円だったので、それよりも物価は高いというイメージの世界です。
ぬのの服で比較してみると、下記のように、ドラクエ4は上下セットアップで5,000円なので、ギリギリでユニクロで上下揃えるぐらいのイメージです。
ぬのの服(DQ1) | 20G | 8000円 |
ぬのの服(DQ4) | 10G | 5000円 |
敵の攻撃を味わいたい人向けの防具が豊富
ドラクエ4の世界には、防具となる衣類の種類も豊富になります。
特に、女性向けのアイテムが増加しており、その中には、防具というよりも、完全なファッションアイテムのようなものもあります。
その代表的なのが「毛皮のコート」で、1着600G=300,000円もします。
現代で言うと、ミンクファーのコートが、大体この価格帯で販売されています。
高級な毛皮のコートで、敵の攻撃を受け止めるのも気が引けますが、動物愛護や環境保護の主義者たちからの批判の目を気にする必要がありそうです。まさに、根性の座ったセレブ用防具です。
また、防御面積の少ないくせに、尋常でない価格の高さを誇るのが、「レオタードシリーズ」です。
ピンクのレオタード | 6.300G | 3.150.000円 |
天使のレオタード | 13.000G | 6.500.000円 |
腕と脚を、ほぼ防護していないにも関わらず、キッチンや風呂など水回り一式をリフォームするぐらいの価格です。
ファッショナブルを通り越して、敵の攻撃を生身や素肌で感じたいという性癖の世界です。
ちなみに、「ステテコパンツ」「鉄の前かけ」などは、セットアップではないので、上半身はすっ裸で下半身しか防護しない防具も、広く流通しています。
ステテコパンツ | 100G | 50,000円 |
鉄の前かけ | 1,500G | 750,000円 |
この世界では、公衆衛生上、必要最低限の箇所を隠すための防具が豊富です。
最強の武器をローンで購入する
ドラクエ4でも、庶民の味方である「こんぼう」は存在しており、1個30G=15,000円と、安定のコスパを実現しています。
逆に、「はやぶさの剣」は、安定の1振25,000G=12,500,000円と、中古の一戸建てぐらいの高価格を誇ります。
その中でも、とんでもない価格なのが、リメイク版に出てくる「破壊の鉄球」です。
攻撃力115の全体攻撃という能力の高さに、1個65,000G=32,500,000円と、新築一戸建てぐらいの価格の武器です。
現代であれば、この価格の武器を一括払いで購入するのは、非現実的です。
できれば、他の仲間の武器代や宿代なども残しておきたいので、ローンや割賦で購入するのが理想的なはずです。
ということで、もしローンで「破壊の鉄球」を購入すると、どのような返済計画になるのでしょうか。
武器は損耗が激しいので、最大でも借り入れ期間は10年までとして、金利は中世ヨーロッパを基準として年利12%とします。
借入額 | 年金利 | 月の支払額 | 総支払額 | |
破壊の鉄球 | 32,500,000円 | 12% | 466,280円 | 55,953,600円 |
ローンを組んでも、毎月の支払額が466,280円というのは、非常に負担が重たい限りです。
1体390G=195,000円のフェアリードラゴンを、毎月2.4体づつ倒して、返済に充てていけば余裕とも考えられますが、あやしいセールスの返済プランのようです。
ただ、その前に、この「破壊の鉄球」が必要かどうかを、家族いやパーティメンバーと話し合う事が先決です。
今後の家内安全、パーティー安泰のためにも重要ですので、決して独断で購入してはいけません。
武器屋の起業にかかる費用
ドラクエの世界で、独立開業や起業ができるのが、ドラクエ4のトルネコの章です。
トルネコは、歩合給で武器屋の雇われ店員をしながら、老人の介護をしたり、隠し財宝を探したりなど、色々な仕事をこなして、開業資金をためる活動を行います。
そして、エンドールの城下町で売りに出された古い店舗を35,000G=1750万円で購入します。
もし、金利12%のローンで期間20年で用立てしたら、下記のようになります。
借入額 | 年金利 | 月の支払額 | 総支払額 | |
店舗買い取り | 17,500,000円 | 12% | 192,690円 | 46,245,600円 |
毎月の返済もそこそこありますが、総支払額は3倍以上になってしまいます。現代の住宅ローンのありがたさが身に沁みます。
毎月、1体390G=195,000円のフェアリードラゴンを討伐すればよいと考えがちですが、トルネコ一人で天空の塔へ行けるはずもなく、護衛を雇う必要があります。
雇える冒険者は、戦士のスコットが5日間400G=20万円、詩人のロレンスは5日間600G=30万円で前払いとなります。
スコット | 400G | 200,000円 |
ロレンス | 600G | 300,000円 |
人件費として50万円を考えると、フェアリードラゴンを最低でも4体は倒さないと、赤字になります。
経営という面で考えると、二人への報酬については、せめて半金を前払い、冒険後に残金払いとしたいところです。
逆に、正社員で採用したほうが人件費を抑えれるかもしれません。
いっそのこと、安定を考えるなら、起業せずに、武器屋の店員を続けるのも、家族のためには良いかもしれません。
支援なき冒険の代償
毎回ドラクエでは、王侯貴族や庶民からの支援がほとんどないので、物資を現地調達して冒険をしていきます。
敵地だけでなく、味方の城や町でも、収奪を繰り返していきます。
なので、ドラクエ4でも、味方の総本山でもある天空城や天空の塔でも、装備やアイテムを収奪していきます。
ドラゴンシールド | 7100G | 3,550,000円 |
不思議なボレロ | 7500G | 3,750,000円 |
世界樹のしずく | 0 | 0 |
メガザルの腕輪 | 10,000G | 5,000,000円 |
被害総額24,600G=1,230万円と、なかなかの額です。もうまるで中世の十字軍みたいなものです。
ボスの居城デスキャッスルでは、「いかづちの杖」1本20,000G=1,000万円を奪取します。
魔王討伐、聖地回復という大義名分の恐ろしさを感じます。
まとめ
ドラクエ4の世界観を現代の物価で見ていくと、以前のシリーズにはない高価なものが出来たので、さらにリアル感が味わえます。
トンネル工事の60,000G=3,000万円が割安なのは、囚人を使って人件費を浮かしているからと考えられます。
また、江戸時代では貴重な田畑の肥料として、肥えを樽1杯500円程で買い取りして集めていたように、「馬のフン」が1個1G=500円で買い取りしてもらえるのも実際的な設定です。
ドラクエの世界にも、ローンだけでなく、生命保険や社会保険があればと考えると、さらに面白みが増します。
単純なRPGの枠を変えて、妄想を駆り立てる要素を持った世界設定が、ドラクエの魅力かもしれません。
モリアド代表 中小企業診断士
前職にて企業の海外WEBマーケティングの支援に従事。独立後に中小企業診断士の資格を取得し、主に企業の経営サポートやWEBマーケティングの支援等を行っている。
2019年から、現代のビジネスフレームワークを使って戦国武将を分析する『戦国SWOT®』をスタート。
2022年より、歴史人WEBにて『武将に学ぶ「しくじり」と「教訓」』を連載。
2024年より、マーケトランクにて『歴史の偉人に学ぶマーケティング』を連載。
著書に『SWOT分析による戦国武将の成功と失敗』(ビジネス教育出版社)。