【プラットフォームビジネス】成功しているプラットフォームに共通している点は?
プラットフォームのコア取引と、それを支える4つの支援活動
プラットフォームは、そのアプリやサービス上にて、消費者サイドと生産者サイドを結び付けて、価値交換という取引を行わせている。
Googleであれば、生産者はサイトを公開する、消費者は検索して情報を知る。
これが検索プラットフォームのGoogleのコア取引である。
そして、このコア取引を円滑に成功させるために4つの支援活動があります。
プラットフォームへの参加促進
質の高いマッチング
価値交換を支援するツールとサービスの提供
取引におけるルールと基準の設定
プラットフォームへの参加促進
プラットフォームビジネスは、プラットフォーム自身が在庫を持たなないビジネスモデルであるため、在庫を所有している生産者に参加をしてもらう必要があります。
参加を促すために、プラットフォームへの登録を簡易にしたり、参入障壁を排除をしたりする事で、プラットフォーム内の参加者層の拡大ができる。
質の高いマッチング
これは、消費者の求めているものを、適切な生産者の商品やサービスへと結びつける事です。
このマッチングの質が悪いと、消費者はプラットフォームを利用しなくなり、それに合わせて生産者もプラットフォームに参加している意義が薄れて離れていってしまいます。
なので、このマッチングの精度こそが、プラットフォームにとって一番重要でもあります。
価値交換を支援するツールとサービスの提供
プラットフォームでのコア取引を円滑化するためのツールや機能、サービスなど付加価値を提供する事です。
このツールが便利だったり有効だったりする事で、参加者のリピート率を高める事ができます。
取引におけるルールや基準の設定
プラットフォームでの取引におけるルールや基準を決めておくことで、質の悪いものを排除して、取引を成功に導いていく。
それによって、参加者の満足度を高める事ができ、プラットフォームの利用の促進へとつながる。
これらの4つの支援活動がコア取引を円滑化する事で、プラットフォーム上での価値交換が活発となり、それが呼び水となって参加者の増加を招いて、どんどんプラットフォームを中心としたネットワークが拡大していきます。
成功しているプラットフォームは、この4つの支援活動が、きちんと行われています。
Googleの検索における4つの支援活動
検索プラットフォームのGoogleを例にして、4つの支援活動を見てみます。
プラットフォームへの参加促進 | Googleのクローラーが自動でWEBサイトの情報を収集する。そして、誰でも検索フォームから情報の検索と閲覧ができる。 |
質の高いマッチング | ユーザーの利便性を高めるという理念のもとで、検索したキーワードやユーザーの動向データを元に、適切だと思われる検索結果を表示する |
価値交換を支援するツールとサービスの提供 | WEBサイトのクロールを促すための「Google Search Console」というツールの提供や、「画像検索」「動画検索」というサービスを提供している |
取引におけるルールと基準の設定 | Google独自の品質ガイドラインを設けて、不正なリダイレクト、隠しテキストや隠しリンク、誘導ページ、コンテンツの無断複製に対してペナルティを与えている |
Googleの検索の品質や使いやすさを支える支援活動が、きちんと用意されて機能しています。すでに当たり前のように使っているものもあります。
Googleが先行していたYahooを凌駕した要因
Googleが、先行していたYahooからシェアを奪い凌駕した要因の第一歩として、「プラットフォームへの参加促進」があります。
全盛期のYahooは、厳密には検索プラットフォームとは言えない、おすすめWEBサイトのリンクを集めたリンクプラットフォームでした。
Yahooにリンクを掲載してもらうには、URLをYahooに申請して、各カテゴリーのディレクターによるサイトの質のチェックを経て、Yahooに掲載されるという属人性の高いフローだったため、掲載されるまでに非常に時間が掛かってしまっていました。
それをGoogleは、クローラーというプログラムで自動でWEBサイトの情報を収集しつつ、生産者側からの自己申請も受け付けて、登録までの待ち時間を軽減させました。
また、事前のチェックで落とされることなく、申請した全てのWEBサイトが、一旦Googleに登録される点も支持されました。
そして、次の要因として、検索アルゴリズムによって、検索キーワードとの関係性の高いものに絞って検索結果に表示させる仕様により、ユーザーの検索意図とのマッチングの質も高めました。
加えて、Search Consoleや画像検索などのツールやサービスの拡充とともに、不正に検索結果での上位表示(ブラックハットSEO)を防ぐための厳しいルール作りやプログラムの改良により、消費者と参加者の満足度を上げる事に成功しました。
こうした4つの支援活動の充実によってGoogleはYahooを凌駕して、検索プラットフォームでの地位を確立させました。
まとめ
プラットフォームが成功するかしないかは、消費者と生産者を含めたネットワークの拡大にあります。
拡大させるためには、消費者と生産者の満足度を上げる事が重要となります。
そのためには、質の高いコアとなる取引を円滑化させ成功という実績を増やしていく必要があります。
そのために4つの支援活動がポイントとなりますので、プラットフォームを構築する際には、コアとなる取引と合わせて4つの支援活動を、設計の段階で、きちんと整備しておく事をお勧めします。
参考図書
モリアド代表 中小企業診断士
前職にて企業の海外WEBマーケティングの支援に従事。独立後に中小企業診断士の資格を取得し、主に企業の経営サポートやWEBマーケティングの支援等を行っている。
2019年から、現代のビジネスフレームワークを使って戦国武将を分析する『戦国SWOT®』をスタート。
2022年より、歴史人WEBにて『武将に学ぶ「しくじり」と「教訓」』を連載。
2024年より、マーケトランクにて『歴史の偉人に学ぶマーケティング』を連載。
著書に『SWOT分析による戦国武将の成功と失敗』(ビジネス教育出版社)。