【独立希望者向け】自営業は経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)を有効活用しよう
借入だけでなく節税などにも有効活用できる経営セーフティ共済
よく独立時に勧められるのは、小規模企業の経営者の退職金代わりとなる小規模企業共済です。
小規模企業共済には、下記のようなメリットがあるため、独立希望者は入ることを私もお勧めします。
- 毎年の確定申告で控除による節税効果
- 受け取り時に金利が上乗せされる
- 受け取り時に退職所得として処理できる
一方、経営セーフティ共済は、取引先の倒産による連鎖倒産を防止するための積立の共済であるため、小規模企業なら損金による節税効果や低利や無利子での貸し付けが主な共済です。
しかし、仕入れの無いサービス業(個人事業主)の場合だと、手形の不渡りを出す事が少ないので、あまりメリットが無いように思えます。
ところが、仕入れの無いサービス業(個人事業主)だからこそ、経営セーフティ共済に入るメリットがあります。
経営セーフティ共済のメリット
経営セーフティ共済で倒産防止の借り入れ以外での大きなメリットは下記です。
- 掛け金を経費(損金)に計上できる
- 前納した場合も掛金を支払った期の損金または経費として計上できる
- 掛け金は、40ヵ月以上納付すると100%解約手当金として戻ってくる
- 最大で800万円まで積立ができる
仕入れが無い個人事業主で、毎月の支払で家賃や光熱費と同じぐらいに負担になるのは、実は、国民健康保険だったりします。
自治体によって差はありますが、売上が増えれば増えるほど、国民健康保険料は上がっていきます。
自分で確定申告していると分かるのですが、国民健康保険料は、市民税や所得税と違って、売上から経費を引いた事業所得から算出されます。
仕入れが無い個人事業主の場合は、経費に計上できるものが非常に限られるため、売上が増えると事業所得が増えていき、国民健康保険料がどんどん高くなっていきます。
だから、この国民健康保険料の上昇を抑えるためにも、経費に計上できる経営セーフティ共済を、活用する事をお勧めします。
売上がどんと増えた年度に、まとめて前納する事で、保険料も抑えつつ節税効果も出せます。
掛け金を経費として計上をしていくことで、国民健康保険料や税金を抑える事ができつつ、最大800万円まで積立ができるので、借入がいらない自営業者にとっても、とてもお得な制度でもあります。
経営セーフティ共済の注意点
経営セーフティ共済の注意点としては、任意解約時の解約手当金には、収入という扱いになるため、税金が掛かる対象の入金とみなされます。(消費税はかかりません)
なので、廃業する直前で売上が少ないタイミングや大きな損金がでるタイミングで、解約手当金を受け取る事をお勧めします。
まとめ
倒産セーフティ共済のように、国や自治体による個人事業主や小規模企業向けのサービスが多くありますので、できるだけフル活用する事をお勧めします。
それぞれ特長があるので、その辺りをうまく活用して、売り上げ拡大、事業拡大、雇用創出して、地域の経済に貢献してもらえればと思います。
モリアド代表 中小企業診断士
前職にて企業の海外WEBマーケティングの支援に従事。独立後に中小企業診断士の資格を取得し、主に企業の経営サポートやWEBマーケティングの支援等を行っている。
2019年から、現代のビジネスフレームワークを使って戦国武将を分析する『戦国SWOT®』をスタート。
2022年より、歴史人WEBにて『武将に学ぶ「しくじり」と「教訓」』を連載。
2024年より、マーケトランクにて『歴史の偉人に学ぶマーケティング』を連載。
著書に『SWOT分析による戦国武将の成功と失敗』(ビジネス教育出版社)。